【西田文郎×清水克衛】影響力を持ちたければ「質の高い本」を読め!|第2回 読む本の質と量で、なぜ脳が変わるのか?
日本におけるイメージトレーニング研究指導のパイオニア、サンリ会長・西田文郎(にしだ ふみお)先生と、知る人ぞ知る非常識な書店、「読書のすすめ」代表・清水克衛(しみずかつよし)さんが「読書と成功の驚くほど深い関係」をテーマに議論をかわす第2回。
読む本の質と量で脳が変わる秘密に迫ります。
第2回/全3回
読む本の質と量で、なぜ脳が変わるのか?
脳も未来も、読書で変わる
清水(「読書のすすめ」店主、以下敬称略、清水):
西田先生にお聞きしたいと思ったのが、読書と脳の関係です。
西田(日本におけるイメージトレーニング研究指導のパイオニア、サンリ会長、以下敬称略、西田):
なぜ私が「成功したければ本を読め」と申し上げるかと言いますと、人間の能力の差は「憶聴(おくちょう)」にあるんです。
脳の秘密は憶聴にあり!ということです。
清水:
あらためて「憶聴」とは何か、そのあたりのお話を。
西田:
「憶聴」とは何か。
人間の脳の非常に深いところ、魂よりもっと深いところにある、意識ではどうにもできない領域を私は「憶聴」と言っています。
「憶聴」をつくるにはいろいろなことをやっていただきたいのですが、脳のことで申し上げますと、本を読んでいただきたいのです。
清水:
本を読むことが、誰かにあてがわれた幸せではなく、自分本来の力を深化させるんですね。
西田:
意識できない領域にある「憶聴」を訓練しようと思ったら、読む本の質と量が大切なんです。漫画でもいいのです。
読む本の質と量で、脳の前提条件が変わる。
脳が変わるということです。
清水:
まさに、読書で未来は変わるということですね。
時代に振り回されないためにも、皆さんにはいい本を読んでいただきたいと思います。
読む本の質が、脳の優秀さを決めていく
西田:
いつも言うんですけれど、脳はすべての問いかけに応えるようになっています。
問いかけという「入力」があると、「出力」があるんですね。
「出力」というのは、脳に「入力」したことに対して起こす行動や言葉などの全てです。
「出力」は脳に「再入力」されて強化され、脳の記憶のネットワークを作っていくのです。
清水:
うちの店でも「本を読んだら即、実践」「いいこと知ったら人に教えてあげよう」と言っています。
本を読むだけでなく、行動したり、人に教えてあげたりすると、すごく変わっていくんです。
西田:
そうですね。本を読んで成功する人としない人がいますよね。
これは何かということに、多くの人は気がついていない。
本を読むのも、本を読んで考えるのも、脳への問いかけなのです。
人間の脳は問いかけたことに対して、全部答えを出しているのです。
将来の自分は、今の脳にどういう情報を送り込むかで決まります。
過去に自分の脳に問いかけた答えが現在の自分なのです。
清水:
脳への問いかけをするいい本が、日本にはたくさんあります。
西田:
でもいい本は、売れないですよね。
清水:
最近は「この本を読めば幸せになれる」とか「この3ステップで大成功」みたいな本ばかりです。
わかりやすくて読者の機嫌を取るような本ばかりになっている現状があります。
そういう本を読んだって、自分の本当の力にはならないですよね。
本を読んで「なぜだろう?」と考える先に何かがある。
西田:
ベストセラーにしようと思ったら、内容のない本を書けばいい。
いつもこう申し上げているんですが、これはどういうことかと言うと、多くの人は、質の高さや内容の深さを本に求めているわけではないということです。
清水:
今の日本人は、難しい本とか質の高い本を読もうとしないんですよね。
西田:
一般の多くの人は内容のある本が欲しいわけではありません。
内容のある本は、専門書になってしまいますからね、ある程度勉強した人が読む本ですから。
けれど本当に魂の奥を訓練しようと思うなら、内容のある本を読んでいただかなきゃいけない。
清水:
質の高い読書というのが難しくて、うちの店でも「この本面白いですよ」とおススメすると、「なんか難しくないですか」っていう返事が返ってくることが非常に多いんです。
そういう人には「枕にもなるし武器にもなりますよ」と大ウソつきながらおススメしているんですけれど(笑)
西田:
「読書のすすめ」さんには、内容のある本ばかり揃っています。
「難しくて読めないよ」と言う人もいますよね。
でも重要なのは、「読む本の質で脳の前提条件が変わる」ということなんです。
前提条件が変われば、新しい価値観が出てきて、新しい目標が生まれてくる。
清水:
はい。本を読んで前提を深く考えていくことで、ステージが上がっていきますね。
学歴よりも読書歴
西田:
なぜ読書が必要かというもうひとつの理由、私はそれを「垢(あか)の法則」と言っているのです。
私がよく経営者の方に申し上げてきたのは、「優秀になるということは、人間の垢と一緒だよ」と。
清水:
先生、垢ですか?
西田:
はい、垢です。どういうことかと言いますと、自分の経験というのは垢と同じです。
他人にはつけられない。
記憶というのも垢なんです。
ですから、お一人おひとり、全く違うんです。
清水:
一人ひとりの哲学は違いますからね。
西田:
そうです。自分の垢を、他人につけることはできない。
たとえ親子でも、つけられませんよ。
「あの経営者は立派だからあの人を勉強しよう」と言っても、それはその人の垢なわけですから、絶対に同じようにはならない。
清水:
誰かのファンになって、追いかけてばかりいる人をよく見かけます。
そういう人は、自分で何か考えたり行動しようとしなくなりがちです。
私は「ファンになるな プレイヤーになれ」と言っているんです。
西田:
自分で努力してチャレンジしない限り、成長はできないですからね。
自分の垢は自分でしかつけられない。
自分の脳についた垢は、自分の一生の宝なんです。
清水:
いいお話ですね。
西田:
経験という垢を大切にし、記憶という垢を財産にしようということを、私は長年、申し上げてきたわけなんですね。
力とは、能力とは、成功とは、垢の秘密なんです。
このことを意識するだけでも、変わってくるはずですよ。
清水:
読書ほど面白い人生の勉強はありません。
私はよく「学歴よりも読書歴」と言っているんです。
皆さんも、いい本読んで自分の脳に自分の垢をつけていただいて、生きる力を磨いていただきたいと思います。
【西田文郎×清水克衛】影響力を持ちたければ「質の高い本」を読め!
第3回「影響力を持ちたければ質の高い本をたくさん読め」に続きます。
西田文郎(にしだ・ふみお)
株式会社サンリ 会長
JADA能力開発分析協会 会長
西田会 会長
一般社団法人大和の会 会長
1949年生まれ。
日本におけるイメージトレーニング研究、指導のパイオニア。
1970年代から科学的なメンタルトレーニングの研究を始め、大脳生理学と心理学を利用して脳の機能にアプローチする画期的なノウハウ『スーパーブレイントレーニングシステム(SBT)』を構築し、スポーツ、ビジネス、そのほか多くの分野の能力開発に多数携わり、驚異的な実績を残している。
著書に『№1理論』『面白いほど成功するツキの大原則』『10人の法則』『№2理論』『天運の法則』『№1メンタルトレーニング』(現代書林)、『強運の法則』(日本経営合理化協会出版局)、『他喜力』(清談社)など多数ある。
西田文郎公式サイト https://nishida-fumio.com/
西田会 https://nishidakai.com/
一般社団法人大和の会 https://yamatonokai.com/
株式会社サンリ https://sanri.co.jp/
清水克衛(しみず・かつよし)
1961年生まれ。
書店「読書のすすめ」代表
逆のものさし講主宰
大学在学中に『竜馬が行く』(司馬遼太郎)を読み、突如として商人を志す。
大手コンビニエンスストアの店長を10年間務めたのち、1994年に会社設立、95年に「読書のすすめ」を東京都江戸川区に開業。
「その人が初めて読む本はすべて新刊」という信条のもと商いを続けた結果、全国からお客さんが訪れる繁盛店となる。
著書に『非常識な読書のすすめ』『「ブッダを読む人」は、なぜ繁盛してしまうのか』(現代書林)、『5%の人』『他助論』(サンマーク出版)、『魂の読書』(育鵬社)、『魂の燃焼へ』(執行草舟氏との共著、イーストプレス)など多数ある。
読書のすすめ https://dokusume.shop-pro.jp/
公式ブログ「清水克衛の日々是好日」https://ameblo.jp/dokusume/
読書のすすめ YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@dokusume
本記事は「西田文郎先生特別講演会 脳と心と魂の秘密」(2024年1月28日)、「西田文郎先生特別講演会 1%の成功する人の脳の秘密」(2024年6月1日)にての、西田文郎先生と清水克衛氏の講演を収録、再編集したものです。
参考文献:『逆のものさし思考』清水克衛/エイチエス
writing:茂木美里