「感謝メガネ ― 幸せはすぐそこにある」岡村佳明著【⑧玉手箱に秘められた愛】(最終回)
幸せは、探すものではなく、気づくものでした
SNSや口コミで感動が広がっている『人生は感謝するほどうまくいく』。
本編から生まれた、もうひとつのスピンオフストーリーが本作です。
「心の視界」がクリアに変わる感謝の魔法を、岡村佳明さんが全8回でお届けする最終回。
さあ、あなたも「感謝メガネ」をかけてみませんか?
[連載第8回/最終回]







第8回/最終回
『感謝メガネ ー幸せはすぐそこにあるー』
8 玉手箱に秘められた愛
幸せの原点
そうして、月日は10年がたった。
修司は、幸せに満ちていた。
そんなある日、修司はハッと思いだした。
「そうだ、今の俺の幸せの原点は、カメのホヌとの出会いだったんだ……」
10年前の、あの不思議な記憶。それが、潮の香りとともに鮮やかによみがえった。
あれからずっと10年間、寝る前の「今日あったいい出来事を3つ書き出す」は続けている。今ではすっかり習慣になっていて、やらないと気持ち悪いくらいだ。
修司は「今日はあらためて『感謝メガネ』への感謝を書いてみよう」と思った。
自分の心にアクセスする。
すると、感謝の気持ちが泉のようにわき出てくる。
それは、海の深い深いところにある竜宮城から発光する幻想的なきらめく光のようだ。
修司は「感謝ノート」を取り出すと、「3つの感謝」を声に出しながら書いていく。
1つめの感謝
「感謝メガネ」さん、いつもありがとうございます。
君と出会えたおかげで、自分に降りかかる出来事は、すべてに意味があると考えられるようになりました。
たとえどんな出来事が起きても、それは「自分に大切な何かを教えてくれる」「心を成長させてくれる」ために起こるプレゼントだと思えるようになりました。
いつも本当にありがとう!感謝です。
2つめの感謝
「感謝メガネ」さん、いつもありがとうございます。
君のおかげで、自分がどれだけ幸せの中にいるのかに気づけました。
それまでは「いいことが起きたら幸せ」だと思い、「得ること」ばかりを求めていた。
でも、「私はすでに幸せの中にいる」ということに、気づけるか、気づけないかの違いだけだった。
この大切なことに気づけた今の私は、全てに感謝できます。最高に幸せです。
3つめの感謝
「感謝メガネ」さん、いつもありがとうございます。
君がいつもそばにいてくれるおかげで、妻のゆりこ、しんたろうと由美。家族4人で仲良く暮らしています。
子どもたちの口ぐせも、もちろん「ありがとう!」です。
きっとすてきな大人に育ってくれると思います。
本当にありがとうございます。
書き終えた修司は「感謝メガネ」を大切そうに見つめると、ゆっくりと顔にかけた。
視界の先には、キラキラと輝く美しい世界が広がっていた。
玉手箱の秘密
私の大好きな彼、最愛の修司が、ここのところずっと元気がない。
仕事でのケガ、車をぶつける、財布を落とす……。たしかに最近の修司には、つらい出来事が重なりすぎている。落ち込んでしまうのも無理はない。
でもね、修司。あなたはこのくらいのことでへこたれる男じゃない。私にはわかっている。だって私が選んだ人だから。
私は決めたの。「何があっても、一生あなたを支える」って。
修司、覚えてる?
付き合い始めた頃、私のお父さんが亡くなって、私は毎日泣いてばかりいた。
そしたらあなたは、私の手を握ってこう言ってくれた。
「俺は彼氏役でも、弟役でも、お父さん役でも、なんでもやる。だから一人で泣くな」
その言葉が、どれほどうれしかったか。
あなたのそのまっすぐな支えがあったから、私は立ち直れたんだよ。
だから、今度は私の番。
最近、元気のない修司が、まれに笑顔を見せる瞬間がある。
それは「竜宮城の夢の話」をしているとき。
カメの甲羅に乗ったこと、ウミガメのホヌと話したこと、竜宮城の乙姫様が私に似てるという話、イカの足と手の秘密、そして、お土産に「玉手箱」をもらったこと……。
この話をしている時の修司は、笑顔になって本当に楽しそう。
それで、私は思ったの。
「そうだ! 私がホヌになろう」って。
私がホヌになって、修司に手紙を書こう。
私が乙姫様になって、修司が大好きなサングラスを「感謝メガネ」としてプレゼントするの。
あの日、私はこっそり、ホヌになりきって手紙を書いた。
「竜宮堂」という名前で小包を作り、玉手箱に見立てた箱に、私の願いを込めたメガネを詰めた。
「大切な修司が、一日も早く元気になりますように」
10年後の今、あの玉手箱がこんなにも幸せな家族の毎日を作ってくれるなんて。
今、隣で「感謝メガネ」を愛おしそうに眺めている修司の横顔を見ながら、私は心の中でそっとつぶやく。
「修司、幸せにしてくれてありがとう」
修司がかけている「感謝メガネ」のフレームが、キラリと光った気がした。
<完>
Yoshiaki Okamura 2026
物語はここで幕を閉じますが、あなたの人生の「感謝メガネ」の物語は、まさにここから始まります。
次回、特別編(第9回)では、誰もが心の中に備えている「感謝メガネの使い方」について、著者の岡村佳明さんが、実体験をまじえながらお話しします。
「どうすれば、ピンチもプラスに見えるのか?」
その答えを、物語の舞台裏とともに解き明かします。
どうぞお楽しみに!
【第9回 特別解説編「感謝メガネの使い方」に続く】
【著者紹介】
岡村佳明(おかむら・よしあき)
「岡むら浪漫」グループ創業者
「浪漫岡村塾」塾長
JADA(日本能力開発分析)協会認定 SBT1級メンタルコーチ
JADA(日本能力開発分析)協会認定 SBTアスリートメンタルコーチ
小説家
1962(昭和37)年生まれ。
生まれも育ちも静岡県藤枝市。
母親が73年前(出版時)に始めた居酒屋を「稼業なら自由に遊べる」という不純な動機で手伝うことから、居酒屋の道に入る。
35歳でそれまで遊び回っていた生活から一念発起し、「居酒屋づくりは人づくり」「お腹だけでなく心も満腹にさせる店」を合言葉に、「看板を出さない・宣伝をしない・入口がわからない」をコンセプトとして口コミだけで繁盛店をつくり上げる。
お客さま本位のスタッフ育成に力を注ぎ、「岡むら浪漫は人間道場」といわれるようになる。
独自の経営がメディアでも注目を浴び、全国で講演などを行う。
現在も、静岡を中心に、沖縄、インドネシアのバリ島などで居酒屋経営に携わりつつ、60歳からは、それまでの「居酒屋から周りを元気に」から「岡村佳明から周りを元気に」、「日本を元気に」に主軸を移し、活動の幅を広げている。
著書に『人生は感謝するほどうまくいく』(美里出版)、『看板のない居酒屋』『マンガ 看板のない居酒屋[成長物語]』(みやたけし漫画)(ともに現代書林)がある。
◎岡村佳明 公式サイト https://okamura-school.com/
◎ポッドキャスト「看板のない居酒屋 ~繁盛店作りは人作り~岡村佳明」はapple Podcasts、Spotify、Amazon Musicのプラットフォームで視聴いただけます。
物語のベースとなった話題の電子書籍『人生は感謝するほどうまくいく』(岡村佳明著/美里出版)。
本編とあわせて読むと、より深く「感謝の魔法」を体感いただけます。

